賃貸退去時の原状回復費用相場と節約のポイントをリフォーム会社が徹底解説

この記事では、賃貸物件の退去時に発生する原状回復費用の詳細な内訳とその相場を徹底的に解説します。また、費用がどのように計算され、どの要素が費用に影響を与えるのかを具体的に説明します。参考にして適切な費用を算出し、トラブル回避にお役立ていただければと思います。

また、借主と貸主の負担分担についても明確に解説いたします。退去費用を抑えるためのアドバイスや、トラブルを避けるための注意点も掲載いたします。

賃貸の原状回復費用について理解し、安心して物件管理を行うことができるようにお役立てください。

賃貸物件の原状回復費用とは何か?

賃貸物件の原状回復費用

賃貸物件から退去する際に気になるのが、原状回復費用だとおもいます。しかし原状回復とは一体何を指すのか?また、どのような費用が含まれるのでしょうか?

このセクションでは、原状回復費用の定義と、それがどのように計算されるのかを詳しく説明します。これを読むことで、賃貸物件を退去する際にどのように費用を計画すべきかについての明確な理解を得ることができます。

原状回復費用の定義とは?

原状回復費用とは簡単にご説明しますと、賃貸物件を借りた時の状態へ戻す事です。内覧して契約した時の状態へ回復させる工事です。

国土交通省のガイドラインでは、「入居者が使用により発生したお部屋の価値の減少のうち、入居者者の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。

そして、いわゆる経年変化(生活する上で誰が住んでいても発生するだろう劣化や損傷)、通常の使用による損耗等の修繕費用は、入居者には請求されない様になりました。

原状回復費用とクリーニング費用の違い

原状回復費用とクリーニング費用は、一見似ているように思えますが、実際には異なる費用です。あくまでも現状回復費用はお部屋を借り始めた状態へ戻す費用です。対してハウスクリーニング費用は、賃貸物件のあらゆる箇所の清掃の事です。

また、原状回復費用は落書きやタバコのヤニなどによる壁の汚れなど入居者の故意や過失による汚れを直して回復することを指しており、ハウスクリーニング代とは別途費用として請求されるケースがおおいです。

原状回復費用の相場と計算方法

原状回復費用の相場と計算方法

では、賃貸物件から退去する際にかかる原状回復費用の相場とその計算方法はどのように置こうなうのでしょうか。このセクションでは、部位別の原状回復費用の相場と、それらの費用がどのように計算されるのかを詳しく解説します。

部位別原状回復費用の相場

部位別の原状回復費用の相場はもちろんありますが、補修方法や材料などで現状回復費用が変わる事がありますのでご注意ください。以下は部位別でまとめた原状回復の一般的な費用です。

壁のクロス張り替え 1㎡ 1,200円~1,500円
床・クッションフロア張り替え 畳1枚 フローリング 30,000円~100,000円
クッションフロアー 5,000円~8,000円
畳の表替え 4,000円~7,000円
ドア鍵の交換 30,000円~90,000円
ハウスクリーニング ワンルーム 20,000円~40,000円
2LDK 50,000円~80,000円

原状回復費用の計算方法について

原状回復費用の計算は、部屋の広さや間取り、居住年数などによって変わります。例えば、部屋の広さが広いほどトータルの退去費用は高額となりますが、1平米あたりの費用は割安になります。また、部屋数が多ければ多いほど、費用が高額になるのが一般的です。

居住年数については、年数が経過するにつれて建物自体も経年劣化するため、居住年数が長いほど、退去費用が少なくなるのが一般的です。具体的には、3年以下の居住であば、全額負担となりますが、3年以上の居住であれば、経年劣化による部分は原状回復費用から控除されます。

また、原状回復費用の計算には「耐用年数」という概念が用いられます。これは、各部位の設備や内装がどれくらいの期間で劣化するかを示すもので、この耐用年数を超えて使用した場合、その部分の修繕費用は借主の負担にはなりません。

例えば、壁紙の耐用年数は6年、畳は10年、フローリングは8年とされています。これらの耐用年数を超えていた場合、その部分の原状回復費用は借主の負担にはなりません。

以上のように、原状回復費用の計算は多くの要素によって決まります。退去時には、これらの要素を考慮に入れて、適切な費用を計算することが重要です。

経年での劣化や普通に生活して消耗した場合は賃料で支払っていますので、普通に生活して傷んだものに対しては大家さんから請求されない事が多いですので、下記の国土交通省ガイドラインをご参考にしてください。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)

原状回復費用の負担者は誰になるのか

原状回復費用の負担者は誰になるのか

賃貸物件を退去する際、原状回復費用の負担者が誰であるかを知りたいと思われるでしょう。そこでこのセクションでは、原状回復費用の負担者が誰であるか、そしてそれがどのように決定されるのかを詳しく解説します。

退居者が負担すべき費用と、大家さんが負担すべき費用の違いを理解することができます。これにより、不必要な費用を支払うことなく、また予期せぬ高額な請求に驚くことなく、スムーズに退去することができるでしょう。

原状回復費用は誰が負担するのか?

原状回復費用の負担者は、基本的には借主(入居者)と貸主(大家さん)の間で分けられます。借主が負担すべき費用は、故意や過失によって生じた傷や汚れの修繕費用です。一方、経年劣化や自然損傷による修繕費用は、貸主が負担します。

しかし、これらの負担範囲は一般的なものであり、具体的な負担範囲は賃貸契約書によります。例えば、ハウスクリーニング代の請求を了承した契約書がある場合には、借主がハウスクリーニング費用の支払い義務を負います。

基本は「原状回復ガイドライン」をご参考してください。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)

賃貸契約書で確認すべき点

賃貸契約書は、原状回復費用の負担者や範囲を明確にする重要な文書です。契約書には、具体的な負担範囲や費用、ハウスクリーニングの代金の負担などが記載されています。また、敷金が不要の物件の場合、部屋を解約した時に高額な退去費用を請求されるケースもあります。

経年劣化や普通の生活で傷んだものに関しては請求は来ませんが、普通の生活が非常に抽象的です。喫煙者は喫煙が普通の生活のように貸主と借主には温度差があります。

この様な事態を避けるためにも契約時にどこまでが経年劣化でどこまでが入居者が退去する時に現状回復費用を負担するのかを明確に書面にする事をおススメします。出来れば壁紙や床の補修費用なども契約書や覚書で残しておくといいと思います。

原状回復費用を抑えるためのポイント

退去時に発生する原状回復費用、その相場と抑えるためのポイントは一体何でしょうか?このセクションでは、賃貸物件を退去する際に発生する原状回復費用の相場と、その費用を抑えるための具体的なアドバイスをいたします。

これらを参考に費用を予測し、適切な行動をとるようにしてください。

入居中に注意すべきこと

まず、部屋の清掃を定期的に行い、特にキッチンやバスルームなどの水回りはカビや水あかが発生しないように注意しましょう。これらの汚れは時間が経つと取り除くのが難しくなり、退去時にクリーニング費用が発生する可能性があります。

また、壁に穴を開ける行為は避け、家具や家電による床の凹みも防ぐことが重要です。これらは原状回復費用として請求される可能性があります。さらに、敷金が不要の物件の場合、部屋を解約した時に高額な退去費用を請求されるケースもあるため、契約書をしっかりと確認しましょう。

この他にも、

  • 引っ越し作業でついたクロスや床の傷
  • ペットによってつけられた傷や汚れ
  • タバコの臭いやヤニ汚れ
  • 結露の放置でできたフローリングや壁のカビ等

これらにはご注意ください。

退去時の手続きと注意点

今のお部屋の賃貸借契約書をしっかりと読んで退去の旨を会社や不動産業者に伝えましょう。他には、

  • 「火災保険」の解約
  • 電気・水道・ガス・インターネットもお引越し
  • 退去の立会い日を決め鍵を返却
  • 契約書の内容は必ず読む
  • 郵便局にも連絡する
  • 敷金の清算をする

といったことが必要です。

契約書で定められた時期と方法で退去連絡をすることが大切大切です。「1ヶ月前に書面で通知」とあったら、いわゆる退去届を記入して不動産屋さんに返送しなければなりません。住民票の転出届や各種ライフラインの手続きは忘れずに行っておきましょう。

注意点としては、退去費用の計算方法を理解し、不適切な請求がないか確認します。原状回復費用は、借主が故意や過失によって傷つけた箇所の修繕費用であり、経年劣化や自然損傷は大家の負担となります。

ポイントとしては、退去時には部屋の清掃を徹底的に行い、可能な限りの修繕を自分で行うことも費用を抑えるポイントとなります。最後に、退去時の立会いには必ず参加し、費用の詳細を確認しましょう。

これらの注意点を押さえることで、不必要な原状回復費用を避け、スムーズな退去が可能となります。

高額な原状回復費用が発生するケースと対処法

原状回復費用が高額になるケースを聞いたことがあるかもしれませんが、もしそんな時はどうしたら良いのか?その対処法についてこのセクションでは、賃貸物件から退去する際に発生する可能性のある高額な原状回復費用について詳しく解説します。

高額な費用が発生する条件を理解し、それに対処する方法を学び、退去時の費用を適切に管理し、予期せぬ出費を避けることができます。

高額請求の可能性がある条件

原状回復費用が高額になる可能性がある条件について詳しく見ていきましょう。まず、部屋の広さや間取りは、退去費用に大きな影響を与えます。

部屋数が多ければ多いほど、費用が高額になるのが一般的です。また、居住年数も重要な要素です。居住年数が長くなると退去費用が安くなる傾向にある一方で、部屋や家具に大きな損傷がある場合や、特別なクリーニングが必要な場合は、費用が増える可能性があります。

さらに、退去費用は、賃貸借契約を行った際に支払った敷金から支払われます。支払い済みの敷金よりも退去費用が上回った場合は、追加で請求される仕組みです。

具体的な例として

  • ドアを勢いよく閉めたら壊れた
  • 家具を引きずって床にキズを付けた
  • ペットによるキズや汚れ
  • タバコのヤニや匂い

特にペットは汚れや傷がつきやすく、請求が高額になるケースがありますのでご注意ください。

高額請求された場合の対処法

まずは、管理会社や不動産屋に相談して交渉してください。直接大家さんにお話しするのもいいと思います。交渉が上手くいかない場合や請求に納得できない場合は、消費者センターで相談ください。無料で相談できると思います。また、役所で無料弁護士相談会なども行っている地自体がありますので、利用する価値はあると思いますのでご参考にしてください。

オフィスや店舗用物件の原状回復費用

オフィスや店舗用物件の原状回復費用

ここからは、商業用物件の原状回復費用の特徴と節約方法について詳しく解説します。原状回復費用の相場を理解し、無駄な出費を抑えるための具体的な方法をお伝えします。

ビジネスの運営コストを最適化し、より効率的な経営を実現するための助けになれば幸いです。

商業用物件の原状回復費用の特徴

商業用物件の原状回復費用は、一般的な住宅用賃貸物件とは異なる特徴を持っています。まず、商業用物件の場合、テナントがビジネスのために物件内部を大きく改装することが一般的です。そのため、退去時の原状回復費用は、その改装の規模や内容に大きく影響されます。

また、商業用物件の場合、契約期間が長いことが一般的であり、その間に物件の自然な劣化も進行します。この自然な劣化による修繕費用は、原則として貸主の負担となります。しかし、テナントの過失や故意による損傷については、テナントが費用を負担する必要があります。

さらに、商業用物件の原状回復費用は、物件の広さや間取り、使用されていた設備の種類などによっても大きく変動します。例えば、広い面積を持つ物件や、特殊な設備を設置していた物件は、原状回復費用が高額になる可能性があります。

商業施設は基本、スケルトンと言って内装を全て壊して明け渡す事が多いと思います。居抜きと言って設備をそのままで借りた場合はスケルトン工事が不要な場合もあります。借り始めた現状と同じ仕様で戻す事が基本だと思います。

商業用物件での原状回復費用の節約方法

スケルトン工事は解体工事ですので、高額な費用が発生します。なので、現状のまま次の借り手を探す居抜き店舗で入居募集をする事も検討ください。また、どうしてもスケルトン工事する場合は、数社の解体見積もりをもらい検討する事がいいと思います。

商業用物件の原状回復費用を節約するためには、まず契約前に物件の状態を詳細に確認し、可能な限り詳細な物件状態報告書を作成することが重要です。これにより、退去時に不必要な原状回復費用を請求されるリスクを避けることができます。また、物件の改装を行う場合は、可能な限り元の状態に戻しやすい改装を心掛けることも重要です。これにより、退去時の原状回復作業の負担を軽減することができます。

さらに、物件の使用中は定期的にメンテナンスを行い、物件の劣化を最小限に抑えることも重要です。これにより、退去時に発生する可能性のある大規模な修繕費用を避けることができます。

最後に、原状回復費用を節約するための最良の方法は、賃貸契約を結ぶ前に、原状回復に関する条項をしっかりと確認し、理解することです。これにより、予期せぬ高額な原状回復費用に直面するリスクを避けることができます。

賃貸の原状回復費用の相場に関してよくある質問と回答

Q1: 退去費用が200万円も請求されたのですが、これは普通のことなのでしょうか?

退去費用は物件の状態や使用期間、契約内容により大きく変動します。しかし、200万円という金額は一般的なアパートやマンションの原状回復費用としては非常に高額です。

請求内容に不明点や納得いかない点がある場合は、まずは詳細な内訳を不動産会社や大家に確認しましょう。また、法的な問題が発生した場合は専門家の助けを借りることをお勧めします。

Q2: 退去費用が高すぎて払えない場合、どうすればいいですか?

退去費用が高額で困っている場合、まずは請求された費用の内訳を確認し、必要な費用かどうかを判断しましょう。原状回復費用は、通常、物件の使用による自然な劣化は借り主の負担にはなりません。

また、請求が適正であると判断できない場合は、専門家や消費生活センターなどに相談することをお勧めします。

Q3: 10年間住んだアパートの退去費用の相場はどのくらいですか?

10年間住んだアパートの退去費用は、物件の状態や契約内容によりますが、一般的には数十万円程度が相場とされています。ただし、大きなダメージがある場合や特別な改装を行っていた場合は、それ以上の費用が発生することもあります。

具体的な費用は、物件の状態を評価した上で、専門の業者に見積もりを取ることで確認できます。

まとめ

この記事では、賃貸物件の退去時に発生する原状回復費用の相場と、その節約のポイントについて詳しく解説しました。

まず、原状回復費用とは、賃貸物件を退去する際に、物件を借りたときの状態に戻すために必要な費用のことを指します。これには、壁紙の張り替えやフローリングの修理など、物件の修繕費用が含まれます。

原状回復費用の相場は、物件の大きさや使用状況、修繕の範囲によりますが、部位別の相場を理解することで、適切な費用を把握することが可能です。

原状回復費用の負担者は、基本的には借り主となりますが、自然な劣化や経年変化によるものは大家の負担となるため、具体的な費用は賃貸契約書で確認することが重要です。

また、原状回復費用を抑えるためには、入居中に物件を大切に使用し、退去時の手続きを適切に行うことがポイントとなります。

一方、高額な原状回復費用が発生するケースもありますが、そのような場合でも適切な対処法を知ることで、問題を解決することが可能です。

最後に、商業用物件の場合も原状回復費用が発生しますが、その特徴と節約方法を理解することで、無駄な費用を抑えることができます。

賃貸物件を退去する際には、これらのポイントを押さえ、適切な原状回復費用を理解することが、スムーズな退去と新たな生活へのステップとなります。

また、退去後に次の入居者が見つかるまでの期間を短縮させるために、リフォームをすることも大事なポイントとなります。原状回復も含め、どの様なメンテナンスが必要なのか。弊社でアドバイスいたしますので、お気兼ねなくご相談ください。